・運を強くする方法(の可能性)
 「運が強い」と思っている人が、本当に強いのかどうか、つまり幸運な経験を得ることができるかどうかには疑問があります。それは「これまで」幸運な経験を得てきたことと、「これから」幸運な経験を得るかどうかには、関連があるとは限らないからです。

 ただしワイズマンは、「運が強い」と思っている人には「対人関係の広さ」や「新奇性への関心」、「緊張や不安の感じやすさ」という特徴があることを挙げています。このことは、対人的なネットワークが拡がることを通じて、幸運を手にしている可能性を意味しています。

 重要なのは、この結果は「明日の宝くじを当てたい」のようなピンポイントに幸運を得ること(これは無理)ではありません。また意図してネットワークを広げることで、幸運を得ようとしているのでもありません。あくまで、意図しない形で転がりこんできたチャンスが、結果的に幸運となっているだけであり、おそらく、それは重要な状況での成功した経験が多いのではないかと考えられます。

 この対人ネットワークの広さと「運の強さ」の関係については、親しい友人の数や、知り合い程度(そこまで親しくない)の数、SNS上の友人の数などで差があることが分かっています。いずれも「運が強い」と思っている人の対人ネットワークは実際に広いのです。さらに、対人ネットワークが広いほど、知り合いから思わぬチャンスを得る機会が増えていることも分かりました。

 これらのことを合わせて考えると、「運が強い」と思っている人は対人ネットワークが広いために、実際に思わぬところで幸運を手にしている可能性が高いのです。